ばっちゃん〜子どもたちが立ち直る居場所

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社会に居場所を失い、非行に走る子どもたち。そんな少年や少女に寄り添い、30年以上、その立ち直りを支えてきた女性がいる。“ばっちゃん”こと、元保護司の中本忠子(ちかこ)さん82歳。長年の経験から「非行の根っこには空腹がある」と確信した中本さんは、広島市内にある自宅を開放し、手料理を振る舞い、親身になって相談にのりながら、多くの子どもたちを更正させてきた。そんな中本さんと子どもたちの8年間の記録。

家庭の温もり、温もりとは何だろう。煮炊きの時の湯気、電気のついた部屋、畳まれて洗剤の匂いのする洋服。ご飯は三食出てくるし、病気をすれば病院に連れて行ってくれ、シャンプーがなくなりそうになったら補充してある。日々の生活は細々したどうでもいいことで成り立っている。母親、時には父親はガミガミ言いながらも子供もため、家庭のためと動き回る。

ある日突然親になる。ある日突然その人の子供になる。子供が欲しくて欲しくてたまらない人も、なんとなくできた人も、欲しくなかった人も陣痛がきてしまったら、もう産むしかないのだ。そして想像とは違った生活が始まる。自分の時間などほとんどない中で、かわいいけれど、何を伝えたがっているのか分からない小さき者との日々が突然始まる。こうしたい、と現実がどうにもこうにも重ならない日々。

ばっちゃんの家にやってくる子供たちは箸の使い方もままならない。それでも持ちにくそうに箸を持ってご飯をかっこむ。彼らの親は彼らのご飯を用意するのを止め、箸の使い方を教えなかった。きっと産まれて1日目から何も与えなかった訳ではないのだろう、どんなきっかけがあったのかは分からないけれど、ある日家から温もりが消えたのだろう。

先日、子供といつも行く、子供と私の間ではいつもの公園と呼ばれる公園に行った。何人かの知り合いとその子供も遊んでいる。そこに小学校高学年位の女の子がいた。学校のあるはずの平日だったので、その姿に違和感があった。更にその女の子の洋服は上下共にやけに大きかった。そして袖や襟ぐりが黒ずんでいる。大人たちに妙な媚び方で「この公園には朝の六時からいる」とか話をしてきて、でもそこにいる母親たちも自分の子供も一歳や二歳なのでなかなか目を離すこともできないのに、何かちょっとした、例えば木登りや鉄棒をやるたびに見てみてーと大声で話しかけてくる。そこにいた母親の一人が持っていたおにぎりとペットボトルのお茶を渡した。あの子はきっとネグレクトされていたのだと思う。私たちがしたことはちょっと話を聞いて、食べ物を渡しただけだった。

ばっちゃんは普通を伝える。温かいご飯を出して、その日に何があったのか聞き、叱ったり、心配したり、褒めたり。部屋には電気がついていて、怖い大人はそこにはいない。言葉で伝える。彼らの語彙はあまりに乏しい。苦しい理由、悲しい理由、家にはいたくない理由、ばっちゃんの家はどんな感じ?という問いかけに、いい感じと答えていた少年。伝えたい気持ち、伝えたい言葉が溢れ、それを言える普通の場所、ないというのは子供だから大人だから関係なく苦しいだろう。今日の夜はゆっくり眠っていられるといいなと、広島の夜に。

子どもの貧困連鎖 (新潮文庫)

価格¥605

順位230,003位

保坂 渉, 池谷 孝司

発行新潮社

発売日2015年5月28日

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のんちゃん

Posted By のんちゃん

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